DV加害者が子どもを連れ去ったとき最初に相談する場所と対応

子どもを連れ去られた直後、室内で電話相談しながら状況や必要な情報を整理する女性の線画イラスト

配偶者からのDV(配偶者暴力)から避難している最中や別居の過程で、加害者である配偶者が突然子どもを連れ去ってしまったとき、激しい動揺と強い不安に襲われることでしょう。「どこに連絡すればいいのか」「子どもが無事なのか」と混乱するかもしれませんが、まずは冷静に第一歩を踏み出すことが子どもの安全を守る鍵となります。

連れ去りが発生した直後は、焦って加害者のもとへ単身で乗り込んだり、強引に取り戻そうとしたりする行動は避けなければなりません。二次的なトラブルや子どもへの悪影響を防ぐためにも、法的な手続きや公的機関の力を借りて対応することが重要です。この記事では、子どもの連れ去り直後にとるべき行動、各相談機関へ伝えるべき情報、法的な対処法について整理して解説します。

目次

子どもの連れ去りが起きた直後に確認すること

連れ去りが発生した直後は、まず現時点での安全状況と客観的な状況を冷静に確認・整理することが先決です。

子どもの身の安全と連れ去りの状況確認

子どもが連れ去られた際、子ども自身に直接的な暴力や危害が及ぶリスクがないか、体調や置かれている環境を把握することが最も重要です。また、連れ去られた日時、場所、連れ去った際の手口(学校からの連れ出し、路上での連れ去りなど)、周囲の目撃者の有無といった具体的な状況を正確にメモに残してください。

加害者からの連絡の有無と内容の記録

加害者から連絡が入っているか確認し、その内容(「子どもは預かっている」「会わせない」といった発言など)を保存します。電話での会話であれば録音を残し、メールやメッセージアプリ(LINE等)でのやり取りであれば画面のスクリーンショットを撮影して保存しておきます。加害者と直接交渉して感情的な口論になると事態が悪化するおそれがあるため、返信は慎重に行い、事実確認にとどめることが望ましいです。

警察・弁護士・家庭裁判所へ伝える情報

しかるべき機関へ迅速に相談・支援要請を行うためには、被害の経緯や現在の状況を正確かつ客観的に伝える必要があります。

警察へ伝えるべき情報(緊急性・連れ去りの経緯)

子どもに直接的な危険が及んでいるおそれがある場合や、身体的暴力・連れ去りの際に実力行使があった場合は、直ちに警察(110番通報または最寄りの警察署)へ連絡します。相談時には以下の情報を伝えてください。

  • 過去のDV被害の具体的な経緯(警察への過去の相談実績があればその旨)
  • 連れ去りの発生日時・場所・状況
  • 子どもの氏名・年齢・服装・特徴・持病などの健康状態
  • 加害者の氏名・連絡先・立ち回りそうな場所(実家、勤務先など)

警察が事件性や子どもの身体的危険性が高いと判断した場合は、安否確認や保護に向けた動きが速やかに行われます。

弁護士や家庭裁判所へ提示する資料

後に法的な手続きを進めるため、弁護士への相談や家庭裁判所への申立ての段階で必要となる資料を整理しておきます。

  • 過去のDVの証拠:写真、診断書、録音データ、DV相談窓口への相談記録など
  • これまでの監護実績の記録:日常的に誰が子どもの面倒を見ていたかを示すメモや通院・学校の記録
  • 連れ去り直後の記録:連れ去りの状況を整理したメモ、加害者からのメッセージ画面の控え

子どもの引渡しや保全処分を検討する

加害者が任意で子どもを返還しない場合、家庭裁判所を通じて法的な手続きを進めることが標準的な解決策となります。

子子の引渡しの審判・調停の申し立て

家庭裁判所に対し、「子子の引渡し」を求める審判または調停を申し立てます。家庭裁判所では、これまでの監護実績や連れ去りの態様(強引さや不当性)、そして「どちらの環境が子どもの健やかな成長(子どもの福祉)に適しているか」を総合的に考慮して判断を下します。DV加害者による強引な連れ去りは、子どもの生活環境を不当に害するものとして不利に評価される傾向があります。

子子の引渡しの保全処分(審判前の保全処分)

審判や調停の手続きには一定の期間がかかるため、子どもが危険な環境に晒されている場合や、緊急に手元に戻す必要がある場合は「審判前の保全処分」を同時に申し立てます。保全処分が認められれば、本案の審判が確定する前であっても、相手方に対して暫定的に子どもを引き渡すよう命じる決定が出されます。急を要する事案では、この手続きの活用が不可欠となります。

自力で取り戻そうとして危険を高めない

子どもを心配するあまり、自身や親族で加害者の自宅や実家に赴き、実力で連れ戻そうとすることは極めて危険です。

実力行使(力づくでの奪還)のリスク

加害者のもとへ突入して力づくで子どもを取り戻そうとすると、相手との激しい揉み合いや暴行に発展し、自身や子ども、周囲の人間が大きなケガを負うリスクがあります。また、態様によっては不法侵入や連れ去り行為として法的な不利益を被るおそれがあり、その後の家庭裁判所での親権・監護権争いにおいて不利な扱いを受ける原因にもなりかねません。

第三者や法的手続きを通じた安全な解決

DV加害者は支配的・攻撃的な態度を強めることが多いため、当事者間での直接交渉や力づくの解決は絶対に避けてください。弁護士を窓口(代理人)として交渉を進めるか、裁判所の保全処分や履行勧告、あるいは警察の立ち合いなどの正当な法的手続きを経ることが、結果として子どもとご自身の安全を確保しながら確実に取り戻す最短の道となります。

まとめ

DV加害者による突然の子どもの連れ去りは、強いショックと混乱をもたらす事態ですが、感情的に行動せず、迅速かつ客観的に法的手続きを進めることが最重要です。

直後の状況を正確に記録し、警察や弁護士、配偶者暴力相談支援センターなどの公的機関へ速やかに相談してください。子子の引渡し請求や保全処分といった法的な仕組みを活用し、専門家の介入のもとで子どもの安全と健全な養育環境を確保していきましょう。

参考情報

  • 裁判所「子子の引渡しに関する手続」
  • 警察庁「配偶者からの暴力(DV)被害への対応」
  • こども家庭庁「児童虐待防止対策」
  • 法テラス(日本司法支援センター)

【注意事項】
この記事は一般的な情報を提供するものであり、個別の法的・危機管理上の助言を行うものではありません。DV被害や子どもの連れ去りに関する具体的な手続き・対応については、置かれている状況や緊急性によって異なるため、弁護士などの専門家、警察、または公的相談窓口へ直接ご相談ください。

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この記事を書いた人

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