DVのけがをスマホで撮影するとき証拠価値を落とさない方法と安全対策

洗面台の前で腕のけがをスマートフォンで撮影し、安全に証拠を残そうとする女性

配偶者やパートナーから身体的な暴力を受けたとき、「後から否定されないよう怪我の写真を残しておきたい」と考えるのは自然なことです。しかし、スマートフォンのカメラでただ撮影しただけでは、いつ誰が受けた怪我なのか客観的に伝わりにくく、証拠としての価値が十分に認められないケースもあります。

また、撮影することに集中するあまり、相手に見つかって更なる危険にさらされる事態は絶対に避けなければなりません。

この記事では、DVによる怪我を撮影する際に証拠価値を落とさない具体的な撮影方法や、写真と一緒に残すべき記録、そして安全を最優先にした手順について整理してお伝えします。

目次

けがの写真を撮るタイミングと安全への配慮

怪我の記録を残す際は、傷の状態が変化する前に撮影することと、ご自身の身の安全を守ることの両立が欠かせません。

暴力を受けた直後の安全確保を最優先にする

相手が近くにいる状況で無理にスマートフォンを操作すると、撮影行為そのものが相手を刺激し、さらなる暴力を引き起こす恐れがあります。まずは相手から離れて安全な場所に身を置くことが最重要です。

撮影は、相手の目が届かない個室やトイレ、あるいは外出先など、確実に危険がない状態になってから行います。

時間の経過によるあざや腫れの変化を記録する

打撲による内出血やあざは、暴力を受けた直後よりも翌日や数日後の方が色濃く現れることがあります。

可能であれば、怪我をした当日だけでなく、翌日や数日後の患部の変化も継続して撮影しておくと、怪我の経過や深刻さを客観的に示しやすくなります。傷が治っていく過程も含めて記録することが有効です。

全体・近接・大きさが分かる写真を残す

第三者が写真を見たときに「誰のどの部位にどのような怪我があるのか」が一目で理解できるよう、構図を工夫して複数枚撮影します。

体のどの部位か分かる全体写真を撮る

傷口だけを極端に大きく写した写真では、顔や腕、脚など体のどの部分の怪我なのかが判断できません。また、誰の体なのかが分からず、本人以外の写真だと相手から反論される恐れもあります。

まずは顔の一部や体全体の輪郭が入るような引きの構図で、怪我の場所が分かる全体写真を撮影することが大切です。

傷の状態が鮮明に見える近接写真を撮る

全体の位置関係を写した後は、患部に近づいて傷の形状や色、出血の度合いがはっきりと分かる写真を撮影します。

ピントが合っていない不鮮明な写真や、暗くて傷の色味が判別できない写真は証拠として弱くなってしまいます。明るい自然光や室内の明かりの下で、鮮明にピントを合わせて記録します。

定規や硬貨などを並べてサイズを比較する

傷の大きさを客観的に伝えるためには、比較対象を並べて撮影する方法が役立ちます。

定規やコイン、絆創膏など、一般的なサイズが分かるものを患部の横に添えて撮影することで、あざの広がりや傷口の深さを第三者が正確に把握できるようになります。

撮影日時と暴力の経緯を別途記録する

写真単体だけでなく、撮影された日時や暴力が発生した状況を文章で補足することで、証拠としての信ぴょう性が格段に高まります。

スマホの撮影データ(Exif情報)を保持する

スマートフォンの写真には、撮影された日時や機種情報などのメタデータが自動的に保存されています。

SNSやメッセージアプリ等を経由して保存し直すと、これらの情報が消えてしまう場合があるため、撮影したオリジナルデータをそのまま保管しておくことが大切です。

暴力が起きた日時・場所・状況を文字で残す

いつ、どこで、相手から何を言われてどのような暴力を振るわれたのかを、具体的にメモや日記に残しておきます。

「殴られた」「蹴られた」という結果だけでなく、相手の発言や直前のやり取りを時系列で整理しておくことで、写真と状況が一致し、事実関係を明確に説明できるようになります。

相手に見つからない安全な保管場所を作る

スマートフォン内に怪我の写真が残っていると、相手に端末を見られた際に発覚するリスクがあります。

非表示アルバム機能の活用や、パスワード付きのクラウドストレージ、信頼できる別端末への転送など、相手に気付かれない方法でバックアップを取っておく配慮が必要です。

写真だけで終わらせず受診記録を確保する

怪我の写真は有力な記録ですが、法的な手続きや警察への相談においては、医師による客観的な医学的判断が極めて重要な意味を持ちます。

医療機関を受診してカルテや診断書を残す

怪我の程度にかかわらず、速やかに整形外科や皮膚科、救急外来などの医療機関を受診することが推奨されます。

医師が作成したカルテや診断書は、公的な証拠として非常に強い効力を持ちます。受診時には、医師に対して「配偶者から暴力を受けた」という経緯を正確に伝えることが大切です。

領収書や診療明細書も保管しておく

診察時に発行される領収書や診療明細書、処方された薬の袋などもすべて保管しておきます。

受診した日付や医療機関名、治療内容が明記された書類は、通院の事実や怪我の治療に要した負担を裏付ける補足資料として役立ちます。

まとめ

DVによる怪我の写真を撮影する際は、写真の鮮明さや構図だけでなく、何よりもご自身の安全確保を最優先に行動することが重要です。

全体写真・近接写真・サイズ比較の3点を意識して撮影し、発生時の詳細なメモや医療機関の診断書と組み合わせることで、客観的で伝わりやすい記録となります。

危険を感じたときは記録集めに固執せず、まずは安全な場所へ避難してください。今後の対応や証拠の保全について迷ったときは、一人で抱え込まず、警察や配偶者暴力相談支援センター、弁護士などの専門機関へ相談することをご検討ください。

参考情報

内閣府男女共同参画局 配偶者からの暴力被害者支援情報
警察庁 配偶者からの暴力(DV)の予防と被害者の保護
法テラス(日本司法支援センター) DV被害に関する法的手続き

【注意事項】
この記事は、DV被害に悩む方に向けた一般的な情報提供を目的として作成されています。法的手続きや個別の証拠能力の判断については、事案や状況により異なります。具体的な対応や安全確保については、警察や配偶者暴力相談支援センター、弁護士等の専門機関へご相談ください。身体的な危険が迫っている場合は、迷わず警察(110番)へ通報してください。

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この記事を書いた人

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