DV加害者がカウンセリングを受ければ変わる?再発防止を見極める条件

川沿いの遊歩道で遠くを見つめる女性が、相手の変化と自分の安全について静かに考えている様子

配偶者からDVやモラハラを受けた後、「カウンセリングに通うからやり直したい」「専門家に相談して自分を変える」と言われると、関係修復への期待と再発への恐怖の間で心が揺れてしまうことがあります。しかし、カウンセリングを受けるという行動そのものが、直ちに家庭の安全や関係の改善を保証するわけではありません。

大切なのは、相手の言葉や受診という形式だけに惑わされず、暴力の本質である支配やコントロールの構造が本当に手放されているかを冷静に見極めることです。この記事では、カウンセリング受診だけでは安心できない理由や、真の反省と再発防止を確かめる視点、被害者自身の安全を守る選択肢について整理します。

目次

カウンセリングを受けるだけでは安全と言えない理由

パートナーが専門機関へ通い始めたと聞くと、問題が解決に向かっているように感じられるかもしれません。しかし、加害構造の根底にある問題は非常に根深く、表面的な通院事実だけで安心することは危険を伴います。

カウンセリングに通う事実と内面の変化は異なる

カウンセリングの場に足を運んでいることと、自分自身の加害性に深く向き合い、内面や価値観を変化させていることは全く別の問題です。

一般的な心理カウンセリングは、本人の悩みや生きづらさに寄り添う対話が中心となることが多く、必ずしも「他者への加害行為を止めさせるプログラム」として機能するとは限りません。本人が自分の都合の良い解釈で話を進めている場合、かえって自己正当化を強めてしまうケースもあります。

反省のポーズとして受診を利用するリスク

DVやモラハラを行う側が、被害者を引き留める手段や一時的な避難措置として受診を選択している可能性も否定できません。

「自分は治療を受けているのだから、あなたも歩み寄るべきだ」といった要求がなされる場合、それは反省ではなく、新たなコントロールの手段としてカウンセリングが利用されている兆候です。外見上の努力を行動の免罪符にしていないか、慎重に見定める必要があります。

被害者が安心を急いでしまう心理的な落とし穴

長期間にわたり緊張状態や恐怖にさらされてきた被害者ほど、「相手が変わってくれたら元の生活に戻れる」という希望を強く抱きがちです。

安心したいという切実な願いから、小さな変化を過大に評価し、危険な兆候を見落としてしまうことがあります。関係修復を急ぐ前に、まずはご自身の心と身体の安全が長期的に守られているかどうかを最優先に確認することが大切です。

加害行為を認め被害者を責めていないか確認する

再発防止の第一歩は、加害者が過去の自らの言動を完全に自分の責任として受け入れているかどうかにあります。被害者側に何らかの落ち度があったかのような主張が残っている限り、根本的な改善は望めません。

自分の暴力や暴言を正当化していないか

「仕事で強いストレスを抱えていた」「お酒を飲みすぎて前後不覚だった」といった理由を並べ、暴力や暴言の責任を外部の環境に転嫁していないかを確認します。

どのような事情があろうとも、他者を傷つけ、支配する行動を選択したのは加害者本人です。外的要因を言い訳にしているうちは、同様の状況が生じた際に再び暴力が繰り返されるリスクが極めて高い状態と言えます。

「お前が怒らせた」という責任転嫁の有無

「あなたが不用意な発言をしたから手が出た」「約束を守らないから怒鳴らざるを得なかった」という論理は、典型的な加害者心理の表れです。

相手の言動を暴力の引き金として位置づける態度は、自分の感情や行動をコントロールする責任を被害者に押し付けています。被害者側の言動に関わらず、暴力を選んだこと自体の非を無条件で認めているかどうかが重要な分岐点となります。

過去の言動を矮小化せず具体的に受け止めているか

過去の出来事を振り返る際、「少し声を荒らげただけだ」「大げさに騒ぎすぎている」と被害の重大さを軽視する発言がないかどうかも確かめるべき要素です。

自らが与えた恐怖や苦痛の大きさを具体的に理解し、矮小化せずに直視できているかどうかが、真摯な反省が存在するかを測る判断基準となります。

長期的な行動変化と再発防止策を見る

一時的な態度の軟化は、緊張関係が一時的に和らぐ時期によく見られる現象です。再発防止を判断するためには、数か月あるいは年単位での継続的な行動観察と、客観的な防止策の有無を見る必要があります。

一時的な優しさと継続的な態度の変化の違い

大きなトラブルの直後に、過度な謝罪やプレゼント、献身的な態度を見せる期間が存在することがあります。

こうした一時的な優しさは、罪悪感や関係破綻への恐れから生じている一時的な防衛反応であることが少なくありません。感情的な起伏が落ち着いた日常の中で、数か月から半年以上にわたり穏やかで対等な態度を保ち続けられるかどうかが問われます。

思い通りにならない場面での感情コントロール

加害者の本質的な変化は、物事が自分の都合通りに進まない場面や、意見が対立した場面に最も顕著に現れます。

要望を断られたとき、予定が変更されたとき、あるいは批判的な意見を受けたときに、不機嫌や威圧的な態度、無視などによって相手を従わせようとしないかどうかを観察することが不可欠です。

第三者や専門機関による客観的なプログラムの継続

個人の努力や一般的な対話にとどまらず、DV加害者更生プログラムなどの専門的な枠組みに継続して参加しているかも判断材料となります。

専門家の指導のもとで自らの加害パターンや思考の偏りを体系的に学び、その進捗や課題を客観的に把握できる環境に身を置いているかどうかが、再発リスクの低減に直結します。

被害者が戻らない選択を自由にできるか確かめる

真の反省と更生への意志がある加害者は、被害者の境界線と決定権を尊重します。「やり直すこと」を強要される関係性自体が、依然として支配関係が継続している証拠です。

復縁を断ったときの相手の反応を確認する

「今はまだ一緒に暮らせない」「関係を修復する意志はない」と伝えた際に、相手がどのような反応を示すかが決定的な見極め材料となります。

被害者の意思を尊重して静かに身を引くか、それとも逆上したり、泣き落としや罪悪感を煽る言動で関係継続を迫ってくるかによって、相手が尊重しているのが「被害者の尊厳」なのか「自分の都合」なのかが明らかになります。

同居を再開しない決断も正当な権利である

相手がどれほど真剣に受診し、改善の兆しを見せていたとしても、被害者が恐怖を感じ、以前のような同居生活に戻らない選択をすることは完全に正当な権利です。

相手の努力に報いるために戻らなければならないという義務感や罪悪感を抱く必要はありません。許すことと同居することは明確に区別されるべき事柄です。

物理的・精神的な安全圏を確保し続ける重要性

相手の様子を確認する段階であっても、別居状態を維持し、いつでも連絡を絶てる安全な距離を保ち続けることが自分自身を守る防波堤となります。

二人きりでの密室での対話を避け、必要であれば第三者や公的機関を介した連絡手段を選択するなど、物理的・心理的な安全圏を崩さない姿勢を維持してください。

まとめ

配偶者がカウンセリングを受け始めたとしても、それだけで家庭内の安全が回復したと判断することはできません。変化を見極めるためには、加害行為を完全に自分の責任として認めているか、自分の思い通りにならない場面でも対等な態度を維持できるかといった、長期的な行動の積み重ねを確認する必要があります。

関係を見直すにあたって最初に確認すべきなのは、相手の受診状況ではなく、ご自身と子どもの心身が現在脅かされていないかという安全の確保です。相手が変化を示している場合であっても、元の生活に戻らない決断を下すことは当然の権利であり、罪悪感を持つ必要はありません。

少しでも不安や身の危険を感じる場合は、決して一人で抱え込まず、配偶者暴力相談支援センターや専門の弁護士などの第三者機関へ相談し、客観的な支援と保護を受けながら今後の進路を選択してください。

参考情報

  • 内閣府 男女共同参画局「配偶者からの暴力被害者支援情報」
  • 配偶者暴力相談支援センター(DV相談ナビ)
  • 警察庁「配偶者からの暴力事案等への対応」

【注意事項】
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的または医学的な判断、あるいは個別の家庭における安全を保証するものではありません。DVやモラハラに関する状況や危険度には個別具体的な差があります。身の危険を感じる場合や具体的な対応に迷う場合は、決して当事者間だけで解決しようとせず、配偶者暴力相談支援センターや警察、弁護士などの専門機関へご相談ください。

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この記事を書いた人

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