配偶者からの暴力や暴言、過度な束縛などのDV・モラハラに悩まされているとき、「どこに相談すればいいのか分からない」「相談したことが相手に知られたらどうしよう」と不安になり、行動を起こせずに一人で抱え込んでしまう方は少なくありません。
DVやモラハラの問題は、ご自身が置かれている「現在の危険度」や「どのような解決を目指しているのか(緊急避難、法的解決、生活再建、心のケアなど)」によって、相談すべき最適な窓口が異なります。
適切な専門機関につながることで、身の安全を最優先に確保しながら、避難の準備や法的手続き、その後の生活基盤の整理に向けた手厚いサポートを受けることができます。
この記事では、緊急時の警察や避難先から、配偶者暴力相談支援センター、弁護士、医療・福祉窓口まで、危険度と目的に合わせた具体的な支援先の役割と選び方を詳しく解説します。自分と子どもの安全を守り、安心できる生活を取り戻すための第一歩としてお役立てください。
今すぐ危険がある場合の相談先
身体的な暴力を受けている最中である場合や、「命の危険を感じる」「包丁を持ち出された」「家から出してもらえない」といった切迫した状況にある場合は、何よりもまず「生命と身体の安全確保」を最優先してください。手続きや準備のことは後から考えるとし、直ちに緊急介入できる機関へ頼ることが重要です。
警察への通報
今まさに暴力が行われている場合や、危険が目前に迫っている場合は、迷わず「110番通報」を行ってください。
警察官が現地に駆けつけることで、加害者から物理的に引き離し、暴力を制止することができます。また、緊急性が高いと判断された場合は、一時的に警察署内で保護されたり、後述する保護命令の手続きに必要な相談履歴(通報履歴)が公的に残されたりします。
直ちに110番する事態ではなくても、継続的な被害や恐怖を感じている場合は、警察相談専用電話「#9110」を利用して事前に被害事実を相談しておくことも有効です。
緊急避難先の確保
相手の追跡から逃れ、今すぐ安全な住まいを確保する必要がある場合は、緊急避難の手続きを進めます。
警察への相談や、後述する配偶者暴力相談支援センター(女性相談支援センターなど)に連絡することで、外部から遮断された安全な「一時保護所(シェルター)」へ緊急避難することが可能です。シェルターの所在地は厳重な秘匿情報となっており、加害者が追跡して侵入することはできません。
また、緊急時には実家や信頼できる知人宅へ身を寄せる選択肢もありますが、相手がすぐに押しかけてくるおそれがある場合は、公的な保護措置や一時保護所を利用するほうが安全です。
避難や生活支援を相談したい場合
「今すぐの暴行はないものの、近いうちに家を出たい」「居場所を隠して生活をやり直したい」「子どもと一緒に避難した後の生活費や住居が不安」という場合は、DV被害者の保護と自立支援を専門に行う公的機関や支援窓口へ相談します。
配偶者暴力相談支援センター
配偶者暴力相談支援センターは、DV防止法に基づき、都道府県や各自治体に設置されている公的な専門窓口です(女性相談支援センターや福祉事務所などがその機能を担っています)。
ここでは、専門の相談員がDV被害に関する相談に応じるほか、一時保護の実施、保護命令申立ての手続きに関する助言や情報提供、避難後の自立支援(住居や生活費に関する情報提供)などを総合的に行ってくれます。全国共通の電話相談ナビダイヤル(#8008:はれれば)を利用することで、最寄りの相談窓口につながります。
自治体の相談窓口
お住まいの市区町村役場の男女共同参画課や福祉課、女性相談窓口などでも、DVやモラハラに関する相談を受け付けています。
自治体の窓口では、相手に新居の住所を知られないようにするための「住民票・戸籍の閲覧制限措置(DV等支援措置)」の手続きを行うことができます。また、子どもの転校・転園手続きの調整や、母子父子寡婦福祉資金貸付金、児童手当の受給者変更手続きなど、行政手続きに直結した生活支援をスムーズに手配してくれる点が大きな特徴です。
民間シェルター
行政機関と連携しながら、DV被害者の避難や自立を支援している「NPO法人や民間団体が運営するシェルター」も存在します。
民間シェルターでは、緊急避難場所の提供だけでなく、避難生活中の心理的ケアや、子どもへの学習・メンタル支援、退所後の生活再建に向けた伴走支援など、行政の制度だけではカバーしきれない細やかな手厚いサポートを行っているところが少なくありません。配偶者暴力相談支援センターや自治体を通じて紹介・利用することができます。
離婚や法的措置を相談したい場合
「別居や避難の目処が立ち、具体的に離婚交渉を始めたい」「相手と直接話さずに慰謝料や養育費を請求したい」「裁判所に近づかないよう命じる保護命令を出してほしい」という場合は、法律の専門家や法的手続きの案内窓口へ相談します。
弁護士
加害配偶者との直接の対話交渉を避け、有利かつ安全に離婚手続きを進めるうえで最も強力な相談先が「弁護士」です。
弁護士を代理人に立てることで、相手からの連絡窓口をすべて弁護士事務所に一元化でき、自分自身が相手の脅迫や説得に直接晒されるリスクを遮断できます。不法行為に対する慰謝料請求、適切な財産分与、養育費や婚姻費用の回収、面会交流の安全な条件設定など、法律に基づいた条件交渉をあなたの代わりに担ってくれます。
法律相談制度
「弁護士費用を用意できるか不安」「まずは自分のケースで法的手段がとれるか知りたい」という場合は、公的な法律相談制度を利用するのがおすすめです。
経済的に余裕がない方を対象に、無料の法律相談や弁護士費用の立替えを行っている「法テラス(日本司法支援センター)」の民事法律扶助制度を活用できます。また、各都道府県の弁護士会や自治体が定期的に開催しているDV専門の無料法律相談会などを利用することで、費用の負担を抑えて専門的な見解を得ることができます。
裁判所の手続き案内
離婚調停や婚姻費用分担請求調停、保護命令の申立てなどを自分自身で進めたい場合、家庭裁判所や地方裁判所の「手続案内窓口」を利用することができます。
裁判所の担当者が、必要な申立書の書式、添付すべき書類(戸籍謄本や住民票など)、提出手順や手数料の納付方法について丁寧に案内してくれます。ただし、裁判所の案内係は中立な立場であるため、「どのような主張をすれば裁判で勝てるか」といった個別具体的な法的アドバイスは行わない点に注意が必要です。
心と生活の回復を支える相談先
相手から離れて安全な環境へ移った後も、長年の支配や恐怖の体験によって心身の不調が続いたり、「自分が悪かったのではないか」と自分を責めてしまったりすることがあります。また、今後の就労や住居の確保など、生活基盤を長期的に立て直すための相談窓口も存在します。
医療機関
配偶者からの暴力で負傷した場合や、モラハラによる精神的ストレスで不眠、動悸、抑うつ状態、強い不安感が続いている場合は、我慢せずに医療機関(整形外科、内科、精神科、心療内科など)を受診してください。
適切な治療や服薬によって症状を和らげることができるほか、受診時に発行される「診断書」や「カルテの記録」は、警察への相談や保護命令の申立て、離婚交渉において被害の深刻さを証明する客観的な資料として役立ちます。
カウンセリング
DVやモラハラの環境下に長期間置かれると、マインドコントロール(洗脳)のような状態に陥り、自尊心や決断力が著しく低下してしまいます。
臨床心理士や公認心理師などの専門家による心理カウンセリングを受けることで、傷ついた自尊心を回復し、恐怖体験によるトラウマを整理していくことができます。公的機関(配偶者暴力相談支援センターや女性相談窓口)に併設された無料の心理カウンセリング枠を利用できる場合もありますので、担当窓口へ確認してみましょう。
就労・住居・福祉の支援窓口
離婚後の独立した生活を安定させるためには、仕事や住まい、公的補助などの福祉制度の活用が欠かせません。
ハローワーク(公共職業安定所)では、ひとり親世帯やDV避難者を対象とした就労支援や職業訓練の案内を行っています。また、市役所の福祉課では、母子生活支援施設への入所相談、住宅手当や生活保護の受給、児童扶養手当の申請など、生活の困窮を防ぐための公的制度を案内・適用してくれます。
まとめ
DVやモラハラに悩んでいるとき、どこへ相談すべきか迷った際は「今の自分の危険度」と「何を手助けしてほしいか」を整理することが支援先選びの鍵となります。
身の危険が迫っているときは警察や避難所、避難計画や生活支援が必要なら配偶者暴力相談支援センターや自治体、法的交渉は弁護士、心身の不調は医療機関というように、目的に応じて専門窓口を使い分けることが大切です。
「自分が我慢すればいい」「大げさにしてはいけない」と自分一人で危険や苦しみを抱え続ける必要は一切ありません。
支援窓口の専門員や警察、弁護士などのプロフェッショナルは、あなたの身の安全を第一に考え、味方となって支援を行ってくれます。まずは連絡しやすい公的窓口や専門機関へ一度電話をかけ、あなたと子どもの安心できる未来に向けた一歩を踏み出してください。フタリエは、あなたが支配から解放され、自分らしい選択ができるよう心から応援しています。
参考情報
・警察庁「配偶者からの暴力等(DV)への対応」
・内閣府男女共同参画局「DV相談ナビ・配偶者暴力相談支援センター」
・法テラス「DV・モラハラ被害者への法的支援」
・厚生労働省「女性相談支援センターの概要」
※この記事は一般的な情報を提供するもので、個別の事情に対する法律・医療・福祉上の判断を行うものではありません。具体的な対応については、警察、配偶者暴力相談支援センター、弁護士などの専門機関へご相談ください。




