「夫婦なのに何か月もない」
「自分から誘っても断られる」
「このまま一生ないのかと思うと苦しい」
セックスレスについて悩んでいると、どうしても、
「どうすれば回数を増やせるのか」
「どうすれば相手にその気になってもらえるのか」
という解決方法を探したくなります。
しかし、その前に一度考えてみたいことがあります。
自分は、なぜセックスレスをこんなにつらいと感じているのでしょうか。
性的な欲求が満たされないから。
異性として求めてもらえないから。
寂しいから。
夫婦なら性的な関係があるのが普通だと思っているから。
同じ「セックスレスがつらい」という悩みでも、その中身は人によって大きく違います。
ここを整理しないまま、
「とにかくレスを解消しなければ」
と動いても、本当に苦しい部分が置き去りになってしまうことがあります。
今回は、セックスレスを「ある・ない」だけで考えず、その奥にある気持ちを4つの視点から整理します。
セックスレスは「回数」だけの問題ではない
セックスレスという言葉を見ると、
「何回しているか」
という頻度の問題に見えます。
しかし、本当に苦しさを生んでいるのは回数そのものではない場合があります。
たとえば、半年間性的な関係がなくても、二人とも困っていない夫婦はいるでしょう。
一方で、数か月ないだけでも、
「もう愛されていないのではないか」
と深く傷つく人もいます。
つまり、
性的な関係が少ないことと、それを問題だと感じることは別
なのです。
どちらか、あるいは双方が苦しさを感じて初めて、その夫婦にとって向き合う必要のある問題になります。
反対に、
「セックスがある夫婦だから仲がいい」
とも限りません。
一方が嫌なのに応じている。
断ると不機嫌になるから仕方なく受け入れている。
夫婦だから当然だと思って我慢している。
そんな状態なら、回数だけを見て「問題のない夫婦」とは言えないでしょう。
大切なのは、
二人がどう感じているか
です。
まず「なぜしたいのか」を自分に聞いてみる
レスを解消したいと考えたとき、多くの人は相手のことから考えます。
「なぜ夫は求めてくれないのか」
「なぜ妻は拒否するのか」
「どうすれば誘いに応じてもらえるのか」
しかし、一度相手から離れて、
「私は、なぜ性的な関係を求めているのだろう」
と自分に問いかけてみてください。
大きく分けると、そこには4つの気持ちが含まれていることがあります。
1.純粋に性的な欲求を満たしたい
もっとも分かりやすいのが、性的な欲求です。
触れたい。
触れられたい。
性的な時間を楽しみたい。
身体的な満足を得たい。
これは人間の自然な欲求の一つです。
ところが夫婦になると、
「性欲だけで求めるのはよくない」
「夫婦ならもっと愛情があるべき」
と、自分の欲求そのものを否定してしまうことがあります。
しかし、
「純粋にしたい」
という気持ちがあること自体を恥じる必要はありません。
重要なのは、その欲求を相手にも同じように求める権利があると考えないことです。
自分には求める自由がある。
相手には応じない自由がある。
この二つが同時に存在します。
だからこそ夫婦では、
欲求があるかないかだけではなく、
二人の差をどう扱うか
が問題になります。
2.異性として必要とされていると感じたい
セックスレスで深く傷つく人の中には、
性的な行為そのもの以上に、
「求めてもらえないこと」
がつらい人もいます。
夫から求められることで、
「まだ女性として見てもらえている」
と感じたい。
妻から応じてもらうことで、
「男性として必要とされている」
と感じたい。
つまり、性的な関係が、
自分の魅力や存在価値を確認する方法
になっている場合があります。
そのため、拒否されると単純に、
「今日はしたくないんだな」
では終わりません。
「自分には魅力がない」
「もう異性として見られていない」
「必要とされていない」
というところまで傷が広がります。
ここでは、セックスレスだけでなく、
自分の価値を何によって確認しているのか
を見る必要があります。
拒否されたことと、自分自身の価値は分けて考える
性的な誘いを断られたとき、
「自分そのものを拒否された」
ように感じることがあります。
しかし、
相手がその日にしたくないこと。
性的な欲求が少ないこと。
疲れていること。
現在の夫婦関係に引っかかりがあること。
そしてあなた自身の価値は、同じものではありません。
もちろん繰り返し拒否されれば傷つきます。
その痛みを、
「そんなことで傷つく自分が弱い」
と片づける必要もありません。
ただし、
「拒否された=自分には価値がない」
という結論まで進んでいるのであれば、
レスとは別に、自分自身の自信や承認の問題も整理したほうがよいでしょう。
3.安心感やつながりがほしい
セックスそのものより、
抱きしめられたい。
手をつなぎたい。
キスをしたい。
寄り添って眠りたい。
と感じている人もいます。
この場合、本当に求めているのは、
性的な満足よりも、
「この人とつながっている」という安心感
かもしれません。
夫婦の会話が減っている。
一緒にいてもスマートフォンばかり見ている。
子どもの話と家事の話しかしない。
そんな生活の中で、
「自分たちはまだ夫婦なのだろうか」
と不安になる。
そこで身体的な触れ合いを、
二人のつながりを確認する手段として求めることがあります。
この場合は、
「セックスを増やす」
ことだけが解決方法とは限りません。
一緒に過ごす時間を作る。
ハグをする。
手をつなぐ。
二人でゆっくり話す。
そうした別の方法でも、求めていた安心感が満たされることがあります。
「セックスしたい」と「つながっていたい」は同じではない
ここを区別できると、夫婦の話し合いが変わります。
「どうしてしてくれないの?」
では、相手は性的な要求として受け取ります。
しかし本当は、
「最近、夫婦として距離が遠くなった気がして寂しい」
なのかもしれません。
もしそうなら、伝えるべきなのは回数だけではありません。
「セックスがしたい」
の奥にある、
「あなたとのつながりを感じたい」
を言葉にすることで、話し合える選択肢が増えます。
4.「夫婦ならするもの」という思い込みに苦しんでいる
もう一つ見落としやすいのが、
「夫婦とはこういうもの」
という価値観です。
夫婦なら定期的にセックスするもの。
レスの夫婦は仲が悪い。
しなくなったら愛情がなくなった証拠。
拒否し続ければ浮気されても仕方がない。
こうした考えを持っていると、本人がそれほど性的な関係を求めていなくても、
「このままではまずい」
という焦りが生まれることがあります。
ここで考えたいのは、
「私は本当に求めているのか、それとも『求めるべきだ』と思っているのか」
という違いです。
「普通の夫婦」と比べるほど苦しくなることがある
周囲の夫婦が実際にどのような性生活を送っているのかは、ほとんど分かりません。
それでも、
「普通はこのくらいするらしい」
「結婚してまだ○年なのに」
「この年齢でレスになるのは早すぎる」
と比較すると、自分たちの関係が異常に見えてしまうことがあります。
しかし、
夫婦にとって重要なのは平均ではありません。
二人が現在の関係をどう感じているのかです。
二人とも性的な関係を必要としておらず、他の部分で満足しているなら、それも一つの夫婦の形です。
一方が強く苦しんでいるのであれば、頻度が世間一般で多いか少ないかにかかわらず、話し合う価値があります。
セックスレスには「始まり方」の違いもある
なぜつらいのかを整理したら、次に確認したいのが、
二人の性的な関係はどのように変化してきたのか
という点です。
大きく見ると、いくつかのパターンがあります。
最初から性的な関係が少なかった夫婦
交際中から頻度が少なかった。
どちらかがもともと積極的ではなかった。
性的なつながり以外の部分に魅力を感じて結婚した。
このような夫婦の場合、
「昔のように戻る」
という目標そのものが成立しないことがあります。
最初から大きな差があったのであれば、
相手を変えることだけを目標にするより、
「この違いを二人はどう扱うのか」
を考える必要があります。
結婚当初には気にならなくても、
年齢を重ねるにつれて、
「このまま一生ないのだろうか」
と重く感じ始める人もいます。
気持ちが変化すること自体はおかしなことではありません。
以前納得していたからといって、これからも我慢し続けなければならないわけでもありません。
家族として仲良くなる中で男女の関係が薄くなった夫婦
以前は自然に性的な関係があった。
今も夫婦仲は悪くない。
むしろ親友のように何でも話せる。
家族としてもうまくいっている。
それでも男女としての雰囲気だけがなくなった。
このようなケースもあります。
結婚生活では、
恋人だった二人が、
家族。
親。
生活共同体。
へと変化していきます。
愛情がなくなったというより、
愛情の形が変化した
とも考えられます。
この場合は、
昔とまったく同じ関係に戻そうとするより、
今の二人なりの親密さを新しく作れるか、
という視点のほうが現実的かもしれません。
二人だけで出かける。
子どもや仕事以外の話をする。
少し特別な時間を作る。
ただし、
「デートしたのだから今日はする」
というゴールを決めてしまうと、かえってプレッシャーになる場合があります。
まずは、
男女として一緒にいる時間そのものを楽しめるか
というところから考えてもよいでしょう。
夫婦関係そのものが悪化しているケース
日常的に喧嘩をしている。
会話がほとんどない。
過去の傷が残っている。
相手への怒りや嫌悪感が強い。
このような状態でセックスだけを戻そうとしても、難しい場合があります。
「スキンシップがないから仲が悪い」
のではなく、
「関係が悪化している結果として触れ合えなくなっている」
可能性があるからです。
この場合に必要なのは、性的な問題を最初に解決することではなく、
なぜ関係が悪くなったのか。
何に傷ついているのか。
何が解決していないのか。
を整理することです。
「すれば仲良くなる」と「仲が戻ればしたくなる」は順番が逆
ここは夫婦ですれ違いやすいところです。
一方は、
「セックスが戻れば夫婦仲も良くなる」
と考えている。
もう一方は、
「夫婦仲が戻らなければ、そもそもしたいと思えない」
と考えている。
どちらも本人にとっては自然な感覚です。
しかし順番が逆なので、話がかみ合いません。
そこで、
「どちらが正しいか」
ではなく、
自分たちはどちらの順番で関係が動く夫婦なのか
を確認する必要があります。
見過ごしたくない「義務になったセックス」
セックスレスとは反対に見えて、実は深刻なのが、
「したくないけれど応じている」
状態です。
断ると相手が不機嫌になる。
喧嘩になるのが面倒。
夫婦だから仕方がないと思っている。
浮気されたくない。
相手を傷つけたくない。
そんな理由で、気持ちを押し殺して応じている人もいます。
行為があるため、外から見るとレスではありません。
しかし、
本人の心が置き去りになっているのであれば、回数があることだけで問題がないとは言えません。
我慢して応じ続けると嫌悪感が強くなることもある
最初は、
「このくらいなら我慢できる」
と思っていても、それを何年も続けると負担が大きくなることがあります。
相手に触られること自体が嫌になる。
寝室に行くのが怖くなる。
求められそうになると身構える。
そうなると、問題は単純な欲求の差ではなくなります。
性的な関係では、
「夫婦だから」
よりも、
その都度、自分がどう感じているか
が大切です。
結婚していることが、相手の身体に自由に触れてよい理由になるわけではありません。
「応じれば丸く収まる」が続いていないか
夫婦関係では、
一度応じれば相手の機嫌が良くなる。
断れば喧嘩になる。
そうすると、
「したいかどうか」
ではなく、
「家庭を平穏に保つために応じる」
という判断になってしまうことがあります。
短期的には喧嘩を避けられます。
しかし長期的には、
自分の意思を無視する習慣になってしまう可能性があります。
もし思い当たるのであれば、
「どうすればもっと応じられるか」
ではなく、
なぜ自分は断れないのか
を考えることも必要です。
レス解消を「絶対の目標」にすると苦しくなる
セックスレスに悩んでいると、
「何としてでも解消しなければ」
と思いやすくなります。
しかし、その焦り自体が二人を追い詰めることがあります。
今日はできるか。
今夜はどうか。
デートしたから期待していいか。
触れ合いがあったから次に進めるか。
すべてが、
「最終的にセックスできるか」
という評価になってしまう。
すると、相手もプレッシャーを感じます。
せっかく一緒に食事へ行っても、
「このあと求められるのでは」
と警戒すれば楽しめません。
だから、
二人で出かけられた。
久しぶりにゆっくり話せた。
手をつなげた。
一緒に笑えた。
それだけで終わる日があってもよいのです。
親密さを取り戻す過程のすべてを、
「行為まで行けなかったから失敗」
と判断しないことが大切です。
フタリエ編集局が考える、最初に整理したい順番
セックスレスの問題に向き合うとき、いきなり解消方法を探すより、次の順番で考えてみてください。
まず、
自分はなぜレスを問題だと感じているのか。
性欲なのか。
異性として認められたいのか。
安心やつながりが欲しいのか。
「夫婦ならあるべき」という考えに苦しんでいるのか。
次に、
二人の関係はどのタイプなのか。
最初から少なかったのか。
仲は良いが家族化していったのか。
夫婦関係そのものが悪化しているのか。
そして最後に、
どちらかが無理をしていないか。
したい側だけが我慢している。
したくない側だけが我慢している。
どちらか一方の我慢で成り立っていないか。
ここまで整理できると、
「セックスレスをどう解消するか」
という一つの問題が、
実は複数の違う問題だったことに気づくかもしれません。
まとめ|大切なのは回数ではなく「何が満たされていないのか」
セックスレスについて考えるとき、
「しているか、していないか」
だけを見ると、本当に大切な部分を見落としてしまいます。
性的な欲求が満たされていない人。
異性として求められたい人。
心のつながりを確認したい人。
「夫婦ならこうあるべき」という考えに不安を感じている人。
同じレスでも、苦しさの中身は違います。
だから解決方法も同じではありません。
また、
行為があるから問題がないとも限りません。
一方が嫌なのに応じ続けているなら、それも二人で向き合う必要のある問題です。
まず、
「私は何がないことにつらさを感じているのだろう」
と考えてみてください。
セックスそのものなのか。
求められる感覚なのか。
安心なのか。
自分の魅力への自信なのか。
夫婦として正常でいたいという安心なのか。
そこが分かれば、
相手に伝える言葉も変わります。
「もっとしてほしい」
だけではなく、
「求められないと、自分に魅力がないように感じてつらい」
「本当はセックスより、抱きしめてもらえると安心する」
「周りと比べて、このままでいいのか不安になっていた」
と伝えられるかもしれません。
セックスレスの答えは、必ずしも「回数を元に戻すこと」だけではありません。
二人がそれぞれ何を求め、何に傷つき、どこまでなら納得できるのかを知る。
そのうえで、
二人にとって無理のない親密さとは何か
を探していく。
そこから初めて、その夫婦に合った答えが見えてくるのではないでしょうか。

