夫婦仲は決して悪くない。
普段の会話もあるし、一緒に出かけることもある。家族として協力できていて、離婚したいと思っているわけでもない。
それなのに、夫婦の間に性的な触れ合いだけがない。
自分から誘うのは怖い。拒否されたら傷つくから、何も言えない。夫が求めていないことが分かっているからこそ、時間がたつほど話題にすることさえ難しくなっていく。
そんなセックスレスに悩む人は少なくありません。
特につらいのは、
「夫婦仲が悪いなら原因が分かる。でも、仲は悪くないのに、なぜ私には触れたいと思わないのだろう」
という状態です。
すると、
「もう女性として見られていないのではないか」
「自分に魅力がないのではないか」
「このまま一生触れ合うことなく夫婦を続けるのだろうか」
と、自分自身の価値まで疑ってしまうことがあります。
しかし、セックスレスの理由は一つではありません。
そして、夫から求められないことが、そのまま「あなたに魅力がない」という意味になるわけでもありません。
大切なのは、ただ回数を増やそうとすることではなく、
二人の間で何が起きているのかを整理し、自分は本当は何を求めているのかを知ること
です。
今回は、夫から性的な関係を求められないセックスレスに悩んだとき、どこから問題を整理すればよいのかをフタリエ編集局が考えます。
夫婦仲が良くてもセックスレスになることはある
セックスレスというと、
夫婦喧嘩が多い。
会話がない。
相手を嫌いになった。
不倫している。
といった大きな夫婦問題を想像するかもしれません。
しかし、家族としては問題なく生活できている夫婦でも、性的な関係だけがなくなることがあります。
むしろ、このタイプのセックスレスは悩みが複雑になりやすいところがあります。
夫を嫌いなら、
「関係そのものを見直したほうがいいのかもしれない」
と考えることができます。
ところが、
「夫のことは好き」
「家族として大切」
「これからも一緒に暮らしたい」
と思っている場合、
性的な部分だけが満たされない状態をどう扱えばいいのか分からなくなります。
その寂しさに蓋をすれば、今までどおり穏やかな家庭を続けられるかもしれない。
でも、
「自分さえ我慢すればいい」
と何年も感情を押し込めることにも苦しさがあります。
家族としてうまくいっていることと、
夫婦として性的なつながりに満足していることは別の問題
なのです。
「女性として見られていない」と自分の価値を結びつけない
夫から求められなくなると、
「私が老けたから?」
「太ったから?」
「もう女として魅力がないから?」
と考えてしまうことがあります。
しかし、ここは切り分けて考えたいところです。
相手が性的な関係に積極的ではない理由が、必ずしも妻の容姿や魅力にあるとは限りません。
もともと性的な触れ合いをそれほど重要視しない人もいます。
結婚当初から夫のほうが積極的ではなかったのであれば、それは夫本人の性に対する感覚や価値観が大きく関係している可能性もあります。
つまり、
「夫が求めない」=「妻に魅力がない」
とは限りません。
ここを同じものとして受け取ってしまうと、セックスレスの問題だけでなく、自分自身への評価まで下がってしまいます。
「私は女として価値がない」
というところまで自分を否定する必要はありません。
まずは、
「これは私自身の価値の問題なのか、それとも二人の性に対する感じ方の違いなのか」
を分けて考えることが大切です。
最初から淡白だったのか、途中から変わったのか
セックスレスを考えるうえで、まず確認したいのが、
以前からそうだったのか、それとも途中から変化したのか
という点です。
結婚当初から夫が積極的ではなかった場合
交際中から性的な関係への関心が低かった。
自分から誘うことがほとんどなかった。
触れ合いの頻度も少なかった。
こうした傾向が最初からあったのであれば、現在だけの問題ではなく、もともとの二人の違いが表面化している可能性があります。
その場合、
「昔の状態に戻す」
ことだけを目標にしても、思うようにいかないかもしれません。
むしろ、
「自分にとって性的なつながりはどのくらい大切なのか」
「夫はどう考えているのか」
「この違いを抱えながら二人はどう暮らしたいのか」
を話し合っていく必要があります。
以前はあったのに、途中からなくなった場合
一方、
以前は自然に触れ合えていた。
お互いに求め合う時期があった。
それが結婚生活の途中から減っていった。
という場合には、
何が変わったのか
を振り返ることが重要になります。
セックスレスそのものだけを見るのではなく、
二人の関係。
生活環境。
夫婦の時間。
そして自分自身の気持ち。
それぞれを分けて確認していきましょう。
原因を一つに決めつけない
セックスレスになると、
「夫が私を女として見なくなったから」
と一つの理由にまとめたくなることがあります。
しかし実際には、複数の要因が重なっている場合があります。
フタリエでは、まず次の3つの方向から整理してみることをおすすめします。
1.夫婦関係に不満がたまっていないか
普段の関係そのものに問題があるケースです。
会話が減っている。
家事や育児の負担に不満がある。
過去の出来事へのわだかまりが残っている。
相手に対する怒りがある。
こうした状態では、性的な関係だけを取り戻そうとしても難しいことがあります。
日常生活では不満だらけなのに、
「セックスだけは以前のように」
と求められても、気持ちが追いつかないことがあるからです。
この場合はまず、
性的な問題よりも夫婦関係そのものを整えること
が先になります。
2.二人の時間がなくなっていないか
子どもが生まれると、生活は大きく変わります。
朝から晩まで家事と育児。
仕事。
子どもの予定。
寝かしつけ。
ようやく一日が終わる頃には、二人とも疲れ切っている。
夫婦二人だった頃には自然に作れていた時間が、家族になることで消えていくことがあります。
すると二人は、
恋人。
夫婦。
男女。
というより、
「子どもを育てるチーム」
になっていきます。
これは決して悪い変化ではありません。
しかし、男女として過ごす時間がほとんどなくなれば、性的な関係も日常から遠ざかっていくことがあります。
この場合は、
いきなり行為を増やすことよりも、
二人だけで話す。
一緒に出かける。
短い時間でも二人で過ごす。
といったところから関係を見直すほうが自然なこともあります。
3.自分自身が「セックスレス」をどう捉えているか
もう一つ見落としやすいのが、
自分はなぜセックスレスをつらいと感じているのか
という部分です。
これは非常に重要です。
同じ「夫から求められたい」という気持ちでも、その理由は人によって違います。
なぜ夫から求められたいのかを考えてみる
自分に次のような問いを投げかけてみてください。
「なぜ私は夫とのセックスを求めているのだろう」
答えは一つでなくて構いません。
愛されていることを確認したい
夫から求められることで、
「まだ愛されている」
と感じたいのかもしれません。
つまりセックスそのものだけではなく、
愛情を確認する方法
として求めているケースです。
女性として見られていることを確認したい
妻。
母親。
家事をする人。
家族を支える人。
そうした役割ではなく、
「一人の女性として求められたい」
という気持ちがあるかもしれません。
この場合、
セックスレスによって傷ついているのは性欲だけではなく、
女性としての自信であることがあります。
不安をなくしたい
「求められないということは、もう愛されていないのではないか」
「誰か別の人を好きになるのではないか」
そんな不安から、
性的な関係があることを「夫婦が大丈夫である証拠」にしようとしている場合もあります。
「夫婦ならあるのが普通」と思っている
自分自身が強く求めているというより、
「夫婦ならセックスするもの」
「ない夫婦はおかしい」
「このままでは夫婦として問題なのではないか」
という考えから焦っている可能性もあります。
子どもについて考えている
妊娠や今後の家族計画が関係していれば、セックスレスは単なる親密さの問題ではなくなります。
「子どもを望んでいるのに、このままで大丈夫なのか」
という将来への不安が加わります。
このように、
「夫に求められたい」
という一つの言葉の中にも、さまざまな気持ちが入っています。
だからこそ、
自分が何に一番傷ついているのか
を知ることが大切です。
「セックスがない」ことと「愛されていない」ことを分けて考える
セックスレスになると、
セックスがない。
↓
女性として見られていない。
↓
愛されていない。
というように、一つの出来事から次々と結論をつなげてしまうことがあります。
しかし、
性的な関係がないことと、
愛情がないことは同じではありません。
たとえば夫が、
毎日家族のために働いている。
体調を気遣ってくれる。
困ったときには助けてくれる。
話を聞いてくれる。
子どもを一緒に育てている。
休日を一緒に過ごしている。
そうした関係があるのであれば、夫なりの愛情が別の形で存在している可能性があります。
もちろん、
「愛情があるならセックスレスでも我慢すべき」
という意味ではありません。
性的なつながりを大切にしたい人にとって、それがなくなることは大きな問題です。
大切なのは、
セックスレスという一つの問題から、自分の存在価値すべてを否定しないこと
です。
自分の寂しさに蓋をするだけでは解決にならない
「家族として幸せなのだから、これくらい我慢しよう」
「夫は悪い人ではない」
「こんなことで悩む自分のほうがおかしいのかもしれない」
そうやって自分を納得させようとする人もいます。
しかし、本当は寂しいのに、
「気にしてはいけない」
と感情を押し込め続ける必要はありません。
性的なつながりを大切に感じることも、その人の価値観の一つです。
反対に、
性的な関係をそれほど重要と考えない人にも、その人なりの感覚があります。
どちらかが正しく、どちらかが間違っているわけではありません。
だから必要になるのが、
二人の違いをどう扱うのか
という話し合いです。
話し合うときは「回数の交渉」から始めない
セックスレスを解消しようとして、
「月に何回ならできる?」
「週に一回くらいはしよう」
と回数を決めたくなることがあります。
しかし、その前に確認したいことがあります。
自分は何を感じているのか。
夫はどう感じているのか。
なぜ減ったのか。
何が負担になっているのか。
何なら心地よいのか。
ここを飛ばして回数だけ決めると、
一方にとっては、
「しなければならない義務」
になってしまう可能性があります。
それでは、二人が望んでいた親密さからさらに遠ざかってしまいます。
まずは、
「最近ないことを責めたいわけじゃないんだけど、私は少し寂しく感じている」
「あなたは今、二人の触れ合いについてどう思っている?」
というように、
正解を決めるためではなく、お互いの感覚を知るための会話
から始めるほうがよいでしょう。
「夫を変える」ことだけを目標にしない
夫が拒否する側の場合、
「どうすれば夫が求めてくれるようになるのか」
ばかりを考えてしまいます。
服装を変える。
体型を変える。
雰囲気を変える。
誘い方を変える。
もちろん、自分自身が楽しんでできることなら問題ありません。
しかし、
「夫に求められる女性にならなければ」
という気持ちだけで努力を続けると、自分を追い詰めてしまいます。
そもそも相手の感じ方は、自分だけではコントロールできません。
だから、
夫を変える方法だけでなく、
自分はこの夫婦関係の中で何を大切にしたいのか
も考える必要があります。
解消することだけが唯一の答えではない
セックスレスについて考えると、
「解消できた=成功」
「解消できない=夫婦関係の失敗」
と思いやすくなります。
しかし、夫婦の形は一つではありません。
話し合った結果、
性的な関係をもう一度作りたいと二人が考えることもあるでしょう。
一方で、
性的な部分以外のつながりをより大切にしながら夫婦を続けるという結論になることもあります。
重要なのは、
どちらか一方が我慢して押し切られた結果ではなく、
二人がそれぞれの気持ちを知ったうえで、納得できる関係を探すこと
です。
家族。
親友。
人生のパートナー。
子育てをする仲間。
夫婦には性的な関係以外にも多くのつながりがあります。
ただし、自分にとって性的なつながりが非常に重要なのであれば、その気持ちまで「夫婦なんだから我慢しなければ」と消す必要もありません。
自分がどこまでなら納得できるのか。
そこを正直に考えることが大切です。
自分一人で整理できないときは第三者を頼ってもいい
セックスレスは、夫婦の中でも非常に話しにくいテーマです。
長期間触れないままにしているほど、
「今さらどう話せばいいのか分からない」
という状態になりやすくなります。
自分でも、
本当にセックスを求めているのか。
愛情を確認したいだけなのか。
拒否されて傷ついたことがつらいのか。
女性としての自信を失っているのか。
いろいろな感情が混ざって分からなくなることがあります。
その場合は、夫婦相談やカウンセリングなどを利用し、自分の気持ちを整理する方法もあります。
必ずしも最初から夫婦二人で相談する必要はありません。
まず自分自身が、
「私は本当は何につらさを感じているのだろう」
と理解するだけでも、次にどう向き合うかが見えやすくなることがあります。
フタリエ編集局が考える、セックスレスで最初にすべきこと
セックスレスになると、
「早く元に戻さなければ」
と焦ってしまうかもしれません。
しかし、フタリエ編集局では、
最初に回数を増やすことより、
問題を分解すること
が大切だと考えています。
以前から夫は性的な関係に淡白だったのか。
以前はあったのに途中から変化したのか。
夫婦関係に不満はないか。
二人の時間がなくなっていないか。
生活が忙しすぎないか。
自分は何を求めているのか。
セックスそのものなのか。
愛情なのか。
女性として見られる感覚なのか。
安心なのか。
これらを一つずつ整理していくと、
「セックスレスをどうにかしたい」
という大きな悩みが、
「私が本当に向き合う必要があるのはここだった」
という具体的な問題へ変わっていきます。
まとめ|「求められない=愛されていない」と決めつけない
夫から性的な関係を拒否される状態が続けば、寂しくなるのは自然なことです。
夫婦仲が悪くないからこそ、
「どうしてここだけがないのだろう」
と悩むこともあるでしょう。
そして、
「もう女性として見られていないのではないか」
と自信を失うこともあります。
しかし、
夫が求めないことと、あなた自身の価値は別の問題です。
まずは、
以前からそうだったのか。
途中から変わったのか。
夫婦関係に問題があるのか。
生活環境が変わったのか。
そして、
自分はなぜ夫から求められたいのか
を整理してみてください。
愛されていると感じたい。
女性として見てもらいたい。
触れ合いたい。
安心したい。
夫婦として自然なことだと思っている。
その答えが見えてくると、次に何を話し合う必要があるのかも変わってきます。
セックスレスは、
「する・しない」
という二択だけで考える問題ではありません。
二人にとって親密さとは何なのか。
夫婦としてどんなつながりを大切にしたいのか。
そして自分は、これからどんな夫婦関係なら納得して生きていけるのか。
そこまで考えることが、
ただ我慢するのでも、相手を無理に変えようとするのでもない、二人なりの答えを見つける第一歩になるのではないでしょうか。

